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暮らしの中のリハビリテーション

独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター附属リハビリテーション学院

  • 担当者作業療法士
  • 高橋 晴美
  • 吉田  前
  • 紀国谷恵子
  • 羽賀 優一

「暮らの中でのリハビリテーション」をテーマに6回シリーズでの掲載をこころみることになりました。ALSの方にとってのリハビリテーションを「暮らしの中」で考えていきたいと思います。4人の作業療法士が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

第一回 リハビリテーションってなんだろう?

第二回 呼吸と日常生活

第三回 エクササイズ-暮らしの中で工夫できること-

第四回 コミュニケーションその1(文字盤)

第五回 意思伝達装置の導入について

第六回(最終回) 筋萎縮側索硬化症(ALS)の方の食事について


第一回 リハビリテーションってなんだろう?

【顔の表情を作るのも筋の働き】

筋肉が果たしている役割

ご存じのように筋肉は身体中の至る所にあります。手足や体幹を動かすのも筋。声を作るのも筋。そして,ひととコミュニケーションをとるときに大切な顔の表情を作っているのも筋。ご飯を食べるときの機能である噛む・飲み込むという働きを担っているのも筋。絶えず行われている呼吸という運動を担っているのも筋です。また,多くの場合筋肉の収縮は関節の動きを伴うため,身体の各部の関節の柔らかさを保つことにも大きく関わっています。

日常生活と筋力

筋力が低下すると日常生活のいろいろな場面に影響が出てきます。

一番気をつけなければならないのは,肺炎の予防です。風邪をひいたときに痰が絡み咳き込むことは誰でも経験することですが,痰を排出する=「吸った息を"勢いよく"吐く」ために実は多くの筋肉が関わっています。
①呼吸に関わる筋(横隔膜・内外肋間筋・斜角筋群・胸鎖乳突筋・僧帽筋・大胸筋など)
②腹筋群(腹直筋・内外腹斜筋・腹横筋など)などがそれに当たります。これらの筋の筋力が低下すると痰があっても排出することができず,肺炎を引き起こす原因となります。

また,一日三度の食事の機会も肺炎の原因となることがあります。ご飯を食べるときの噛む・飲み込むという働きも筋肉が担っていることは述べましたが,この機能が低下すると,食べたものをかみ砕き,唾液と混ぜてひとかたまりの食塊にして飲み込み,食道へ流し込むという一連の働きがうまくいかず,気道へ食物の残渣が入ってしまい肺炎を起こしてしまいます。さらにこの一連の働きには,姿勢が大きな影響を及ぼします。これらの痰を排出する・食べるという2つの機能が低下すると,肺炎を引き起こし,呼吸機能の低下を招き,全身への影響を及ぼしてしまいます。

そして,コミュニケーション。コミュニケーションは会話という方法と表情・ジェスチャーという方法でとることができますが,そのどちらも筋の働きによって行われています。私たちは吐く息とともに唇や舌などの動きで音を作り声として出し,表情は顔面の筋により作り出されています。この発声というコミュニケーションの中でも大切な機能は,食べるという機能と重複し,またどちらも呼吸機能と深いつながりを持っています。

つまずきや転倒は足の筋力の低下で起こりますし,持っている箸や鉛筆の操作がうまくいかない,机の上にあるものまで手が届かないということは腕や手・体幹の筋力低下で起こります。

日常生活とリハビリテーションのつながり

ALSの方にとってその時々でできることを生活の中で継続して行うということはとても大切なことです。専門用語では「廃用症候群の予防」という表現になりますが,使わないために起きてくる様々な症状(関節の動きが悪くなる,筋力が低下するなど)を予防するために必要な,基本的な考え方です。そのためにさまざまな「工夫」や「関わり」が必要となってきます。また,自分が日常生活の中でできることと家族や専門職との関わりの中で行うことも整理していくと役割分担ができて良いと思います。この回では簡単に説明するにとどめますが・・・。

【文字盤の利用】

痰を出すために必要な呼吸機能を維持するには,酸素を取り込む効率がよく,かつ,外気を暖め潤しながら行える呼吸方法(腹式呼吸・口すぼめ呼吸)を練習し日常生活の中で行うようにします。食事の際には,誤嚥を防ぐための食事姿勢の調整などを行います。会話が困難となったときには筆談を行ったり,文字盤を使うという工夫をしたり,さらにはIT機器を使った意思伝達装置も利用します。また,日常生活の中で体操の時間を設けて身体を動かし,関節の柔軟性を維持するように心掛けたいと思いますが,その際は,翌日に疲れを残さない程度に,そして回数多く行うよりも1つの運動を丁寧に行うことがとても大切です。介助が必要となったときの寝起きの方法も,ご家族の介護負担をできるだけ軽減ができるような介助方法を取り入れていただきます。また,福祉用具を取り入れ生活環境を整えるという工夫もしていきます。

相談相手をたくさん作りましょう

進行性の疾患であるALSの忘れてはならない特徴に,「症状に気がついたときから,ご本人はもちろんご家族も大きな不安を抱いての生活が始まること」があります。その不安を少しでも軽減していくためには,「ひと」の力が大切です。

他にも自分と同じように生活しているひとっているんだろうか?
介護負担が気になり始めたのでヘルパーさんに来てほしいけど・・・?
全身の健康管理はどんな風に考えたらいいの?
利用できる制度ってどんなものがあるの?
リハビリってどうするんだろう?

これら一つ一つのことの解決は,「ひと」と「ひと」との関わりの中で行われていきます。その相談相手をたくさん作って頂きたいと思います。

そして,「ひと」の中にはもちろんご本人ご家族も入ります。私たち専門職は,お一人お一人との関わりを通して成長していきます。ご本人やご家族の笑顔や一言により,持っている力を越えて120%の力を発揮できることがあるのはご本人ご家族の力があってこそです。

今回は,シリーズの内容を含めながら「リハビリテーションってなんだろう?」について考えてみました。これからは,生活の中でできる体操・介助方法,呼吸と日常生活,コミュニケーション(文字盤や意思伝達装置),食事とその姿勢などについてより具体的に解説していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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第二回 呼吸と日常生活

今回は,「呼吸」のお話です。呼吸は,私たちの生活と深い関わりがあります。その仕組みと生活との関わりについて(呼吸リハビリテーション)説明してきたいと思います。

呼吸についての基礎知識

1. 気道の役割

呼吸は横隔膜や胸部の筋・腹筋群がその働きを担っていますが,空気の通り道である気道も大切な役割を担っています。鼻にある鼻毛や気道の粘膜は,汚れた空気から誇りや細菌などを取り除きます。複雑な形をした鼻腔は,冷たくて乾燥した部屋の空気(室温約10~25°,湿度約20~70%)を暖かくて湿った空気(体温約36.5°,湿度100%)に変えてくれます。私たちの身体は,取り込んだ空気を気道を通して肺へ送ることにより感染予防を行っているのです。このことはあとから出てくる鼻を通して呼吸する「口すぼめ呼吸」の勧めにつながります

2. 呼吸と姿勢

横隔膜の位置は姿勢によってかわります。身体の中で胸腔と腹腔を隔てている横隔膜は下に位置するほど,胸郭の体積が大きくなりますが,臥位(寝た姿勢)で高く,座位(座った姿勢)で低くなります。すなわち,一般的には座位の方が機能的残気量という肺の中に残っている空気の量が多くなり,ガス交換がより多くできると考えることができます。この呼吸と姿勢との関わりは,姿勢が変わることによって身体にかかる重力が変化することと関係しています。

このことから,姿勢を変える生活をするだけで呼吸に変化がもたらされることがわかります。自力で座位が難しくなっても,車いすで過ごしたり,ベッド上でもギャッジアップして過ごすことにより呼吸に良い変化がもたらされ,痰が出やすくなることにもつながります。

【顔の表情を作るのも筋の働き】

3. 気道と食道

もう一つ,気道と大きく関わっているのが「食道」です。気道はいつも開いていますが,食道に食べ物が送り込まれるときだけは息を吐くタイミングに合わせて喉頭蓋でふさがれます。ほんの1秒にも満たない時間ですが,この息を吐く呼気にあわせた気道の閉鎖が誤嚥を防いでいるのです。食事の際には,気道と食道の位置の関係と噛む・飲み込むという動きとの連携を円滑にするために姿勢を整えて食べるようにします。

【顔の表情を作るのも筋の働き】

4. 呼吸の方法と特徴

さて,呼吸には大きく分けて「腹式呼吸」と「胸式呼吸」という2つの種類があります。「腹式呼吸」はおなかをふくらませて行う呼吸,胸式呼吸は胸を大きく上に向かって広げて行う呼吸です。みなさんにお勧めしたいのは「腹式呼吸」の方です。腹式呼吸には利点があります。

呼吸も運動であり筋の収縮を伴うものであることはすでに述べましたが,呼吸もエネルギーを使って行われています。腹式呼吸は主に横隔膜を使って行いますが,他の筋をあまり使わないため,効率の良い呼吸といえます。これに比べて胸式呼吸は,胸郭を上に持ち上げるため胸鎖乳突筋や斜角筋といった多くの筋を使います。これでは必要な酸素を取り込むために多くの筋を働かせ過度のエネルギーを消費してしまうことになります。

「息を吸う」のは横隔膜や胸鎖乳突筋・斜角筋などのはたらきによっておこなわれますが,「息を吐く」のは肺が縮もうとする肺自体の弾性によって多くが行われています。息を吸うことをやめると肺は自然に縮もうとして肺の中にある空気を押し出していきます。もっと息を吐ききるときには腹筋群が働きます。

5. 呼吸と痰を出すこと

気道の分泌物である痰は,適切に排出しなければ肺炎の原因となってしまいます。痰を出すためには痰自体の柔らかさと,それをはき出すための呼気の勢いが必要となります。勢い良く呼気を出すためには,腹筋群が大いに力を発揮します。また,痰が軟らかい状態であるためには,外気の湿度や飲食物を介した身体からの水分摂取が必要です。口から大量の乾いた空気を吸う口呼吸は,気道を乾燥させてしまうため痰が出にくい環境を作ってしまうので,鼻から吸う鼻呼吸(口すぼめ呼吸もこれに該当)を行うようにします。

また,痰は重力がかかる肺の下のところにたまりやすくなります。姿勢を変えると肺の下方向に当たる部分が変わるので,痰は移動しやすくなり排出しやすくなります。

6. 呼吸と話すこと

私たちは日常何気なく声を出して話をしていますが,この声を出すという発声の機能も呼吸と大きな関わりを持っています。声を出してみてください。一緒に息が吐かれているのがわかります。息を吸いながら話そうと思ってもできませんね。大きな声は息を勢いよく吐くこととともに,小さな声は少しずつ息を吐くことによって出されています。また,人と話をしていて笑うことがよくありますが,これも息を吐きながら,吐ききったら深く息を吸って・・・行われています。日常の何気ない会話と呼吸は切り離すことができない関係にあります。

呼吸の練習

1. 腹式呼吸

《腹式呼吸とは》横隔膜を使いおなかをふくらませて行う呼吸です。この時胸はわず

【顔の表情を作るのも筋の働き】
かしか動きません。

《腹式呼吸の方法》片手を軽く胸に当て,もう一方の手はお腹に当てます。吸気(息を吸ったとき)にお腹がふくらむのを感じることができます。この動きが大きくなり,胸の動きが小さくなるように意識して練習します。

2. 口すぼめ呼吸

《口すぼめ呼吸とは》「鼻から吸って」「口をすぼめながら息を吐く」呼吸法です。口から息を吸うと,冷たくて乾いた空気を一気に肺に送り込んでしまいます。鼻から息を吸って,空気を暖め湿度を上げます。また,口をすぼめて吐くことにより,気道や肺の内圧を高め広く保つことができます。

すぼめ呼吸の方法》鼻から「1,2」と頭の中で数えながら息を吸います。そして,プーというつもりで口をすぼませながら,今度は,「1,2,3,4」と吸ったときの倍の時間,できればそれ以上の時間をかけて吐いていきます。慣れないと少し難しい感じがしますが,根気よく続けることによって徐々に上手になっていきます。

そして,少し慣れてきたら腹式呼吸を使って口すぼめ呼吸を行うようにします。1回につき数分間,一日3回程度練習をしてみて下さい。慣れないうちは,自分の呼吸ペースと違うため乱れて苦しい感じがすることもありますが,その時にはあわてず休んで楽な呼吸に戻ってください。ゆったりとリラックスして行ってください。

【顔の表情を作るのも筋の働き】

呼吸と日常生活

【顔の表情を作るのも筋の働き】

活動することは,呼吸の変化をもたらします。人と話をして笑ってみたり,歌ってみたり。時には身体を起こしてみたり,車いすに座ってみたり,散歩に行ってみたり。身体を動かすいわゆる運動が筋を収縮させ呼吸機能を活性化するのはもちろんですが,日常生活の様々な活動が,酸素を取り込み二酸化炭素を排出することの一役を担っています。ですので,日常の活動が安全に行える状態であれば,今行っていることを継続して行うことが何よりの呼吸リハビリテーションとなります。

呼吸リハビリテーションというと難しく聞こえますが,①腹式呼吸や口すぼめ呼吸を日常生活に取り入れ,②会話や日常の活動が呼吸によい変化をもたらすことを理解して生活すること,と考えて良いと思います。すなわち生き生きと生活することが,身体にも良い影響を多くもたらすのです。

仮に寝たきりになったとしても,横向きになったりギャッジアップして姿勢を変えた

【顔の表情を作るのも筋の働き】
り,たまには車いすで散歩をしたりする生活は,それだけで呼吸に変化をもたらし,肺(痰)にかかる重力の方向も変わり,痰が出やすくなる状況を作ってくれます。

少々ややこしいお話でしたか? でも,呼吸というなにやら難しそうなもののイメージが少しやわらいだでしょうか。呼吸の働きと私たちの日常がごく近いところにあることが少し身近なところで理解していただけたら幸いです。

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第三回 エクササイズ-暮らしの中で工夫できること-

エクササイズについて

第一回目で、手足を動かすこと、声を作ること、顔の表情、ご飯を飲み込むこと、呼吸することなど、日常生活のあらゆる活動に筋肉が関与していることをお伝えしました。また同時に、多くの場合筋肉を使うことは、関節の動きを伴うこととなり、関節の動きの柔らかさを保つことにつながるということをお伝えしました。

ALSの方にとって、その時々にできることを生活の中で継続して行うということはとても大切なことです。日常生活のさまざまな活動(食事をする、寝返る、立ち上がる、衣服を交換する、排泄するなど)をできるだけ快適に行えるようにするために必要な、関節の柔軟性を中心にお話したいと思います。

関節の柔軟性

ALSの方にとって、関節の動きの柔軟性を維持することが大切です。柔軟性とは、関節の可動範囲のことをいいます。この柔軟性が保たれれば、自分で、または介護をしてもらう上でからだを動かしやすくなります。一般的に、柔軟性が失われると、歩くこと、移動すること、椅子に座ったり立ち上がったり、ベッドの中で寝返りをうつことでも困難になります。膝の関節ひとつが曲がりにくいだけで、思わず「よっこいしょ」と掛け声をかけてしまいます。

また、柔軟性と可動範囲を維持することは、機能を保つだけではなく、『痛みの予防』にもつながります。関節が動きを失うと硬直し、いざ関節を動かそうとすると痛みが生じます。痛みが生じると、通常、人は身体を動かさなくなります(動かさないことで関節を護ろうとする)。そのため関節の動きはより一層小さくなります。四肢を動かさなくなると、循環と関節への栄養補給が減少し、関節はより一層固くなり、痛みが増すようになります。つまり、悪循環が始まってしまうのです。

そのために、からだの各関節を痛みのない範囲でまんべんなく、ゆっくり、やさしく動かすことが必要です。ここで述べる各関節とは、腕と脚の関節が中心になりますが、腕には、肩・肘・手首・指の関節があり、脚には、股・膝・足首・足趾の関節があります。肩や股関節は、腕や脚を挙げたり回したり、肘や膝関節は、曲げ伸ばしに、手首や足首は曲げたり回したり、手指や足趾は握ったりつまんだりなどの関節運動があります。柔軟性が保たれていれば、動かしたときや動かされたときに痛みを感じることなく、滑らかに動くことが出来ます。このように各関節の動きは、日常生活に当てはめてみると、肌着のシャツを着る脱ぐ時には、腕を大きく挙げたり、下ろしたり、肘も曲げたり伸ばしたり、シャツをしっかり握るために指は曲げ手首を固定していたりなど、あえてトレーニングと意識しなくとも柔軟性のためのトレーニングになっているのです。毎日の食事、衣服の交換や入浴、排泄、シーツ交換時の体位変換など繰り返し行っていること自体が、柔軟性や筋肉に役立っていることです。

ただ、使くい関節や運動がありますので、意識的にトレーニングとして、毎日一回各関節をまんべんなく、痛みのない範囲で大きく動かすことが必要です。ご自分で腕や脚を支える力が弱くなってきた場合は、どなたかが動かす必要がありますが、その際の注意していただきたいことは、動かしすぎないことです。動かした時にきつい感じがあったらそれ以上動かさないことです。目安を作るとよいですね。例えば腕を上に挙げる運動では、二の腕が耳のあたりまで(写真1)とか、肘を曲げる運動では、肘の角度が90度程度(写真2)、また脚を曲げる際は、股関節と膝関節が共に90度程度まで(写真3)などと、目安を決めると行いやすいかもしれません。それから、支える力が弱い場合は、介助する方が、腕や脚の重さや関節をしっかりと支えて動かすことも大事です。写真1・2では肘と手首を、写真3では膝の下とかかとをしっかりと支えています。これは、関節を効果的に動かすためと関節を痛めないために重要です。まずは、介助する方自身が、どの程度動くものか確認してから動かすとよいでしょう。

筋力維持と機能

可能な限り長い間に亘って筋力を保つことが、ALSの方にとって目標になりますが、ALSの方の運動神経は、大変疲労しやすい特徴があります。従って、筋肉を過剰に使用しすぎるような「筋力強化」のためのトレーニングは、筋肉を過剰に使いすぎてしまい、筋肉が過労状態となってしまいます。特に注意していただきたいのは、運動量の加減です。その目安は、運動後、あるいは運動(トレーニング)の翌日に筋力の低下(力の入りにくさ)を感じた場合には、運動量が過剰です。次回には、運動量あるいは時間を減らさなければならないでしょう。運動の最中に痙攣が起こったり筋肉疲労(だるさ)を感じた場合は、中止あるいは休息が必要です。運動による疲労のために、機能的な動き、例えばコンピュータを使ったり、靴を履いたり、自分で食事するなどの作業が困難になってしまうこともありますので、毎日の日常生活とのバランスが必要になります。

また、筋力が低下してくると困難な動作がでてきますが、機能維持のために様々な補助具があります。足首から力が入らずにつまずきやすい場合は、足首を固定する補助具の活用や杖や歩行器、ネックカラー(首の姿勢保持のため)などの活用があります。また、特別な補助具を使わずともちょっとした工夫で、必要以上に筋力を使わずにできることもあります。例えば、肘掛のついている椅子の利用により姿勢が安定する場合や、本を読む時は、本を手で持たずに、本を眼の高さに置いて(台の高さを高くしてなど)読むこと、重すぎる靴を軽めの物に変える、整髪ブラシに長い柄を固定して使ってみるなど、無理に疲労を伴う動作をせずに、筋力の『省エネ』をすることも必要です。道具の活用や少しだけ発想を変えてみると『こんな方法なら楽にできる!』ことが増えるかもしれません。

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